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●ボランティア活動の発展のために必要なもの

 

田中 では本論に入っていきたいと思います。先ほど皆さん、アナ・ミヤレスさんの話をお聞きになったと思いますが、ちょっと日本のボランティアからするとピンとこないこともあるかと思います。例えばボランティア団体をマイアミでつくるときに彼女はこういうことを言っています。「マーケット・リサーチをする」。マーケット・リサーチとは市場調査のことです。企業が何か商品をつくって、この商品はどうかというときには必ずマーケット・リサーチをしますが、通常日本のボランティア団体のなかではマーケット・リサーチをするなど、ちょっとピンときません。それから理事会のボードメンバーにはテレビ局の人に入っていただいて、その人に広報を担当してもらったりしております。また彼女は銀行出身ですから、銀行の彼女のお友だちを連れてきて役員をしていただいて、その方にお金集めを担当していただく、そういうようにたくさんの能力のある方を集めてくることを非常に意識的にしているわけです。
皆さん方ボランティアをしている方々が多いわけですが、例えば皆さん方が所属されている団体のなかで、年間予算が100万円を超えている団体がありましたら、ちょっと手を挙げてくれませんでしょうか。はい、お2人ですね。年間予算100万円を超えていない団体というのは、多分独立した事務所をお持ちでない、そこに専任の職員がいないということだと思います。アナ・ミヤレスさんのところには5名くらいの有給の専任の職員がいます。それから政府がお金を払って派遣しているビスタ・ボランティアというのが12名ほど所属しており、計20名ぐらいの専任のスタッフが動いており、そこに約3000人のボランティアが関わる中でまた中枢のメンバーが100人程度おり、いろいろ動いているわけです。当然お金も100万円程度ではありません。アメリカのボランティア・NPO団体の年間の平均予算は日本円で言うと約2000万から3000万程度で動きます。
つまり力が強いということは、メンバーの数やどれだけのことをやれているのかというようなことが非常に関係してくるかと思います。そのためにはボランティア団体自身が頑張らなくてはいけないのですが、ボランティア団体だけが頑張ってできることでもないかもしれません。ことに行政・自治体のボランティア活動を支援する環境整備というものが役割として非常に大きいのではないかと思います。そういうことで福岡市におけるボランティアと行政との関係について、これまでのことやこれからのこと、いろいろなことをまず植木部長のほうからお話を願いたいと思います。

 

●自助・互助・公助の福岡型福祉社会をめざして

 

植木 今、私たちがどのようなことを考えてしているか、それからどのようなことをやりたいかについてお話しさせていただきます。会場の6割の方がボランティア活動をしているということで、本当にありがたいと思います。やはり福岡は「元気がいいんだな」と思います。このあいだの「福岡市政だより・8月15日号」をご覧になりましたでしょうか。ボランティアに関心があり、大体市民の6割以上が活動に参加したいということです。実際に参加している方はそんなにいらっしゃらないのですが、ここでは参加している方が多

 

 

 

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